兼業主夫(弁護士)の主人公シロさん、同居人の美容師 ケンジのうちごはんの物語です。
作者のよしながふみさんはかなり食いしん坊のようで、ほかの作品でも 食べ物についてとてもおいしそうに描いています。
この作品では、評判の店のお勧めメニューでも手間暇かけた ハレの日のごちそうでもない、日々の献立をその日のできごとと共に自然に描いてあります。
ふたりはゲイのカップルです。この設定もよしながさんの 漫画家キャリアの根本にあり、とても自然に物語が進んでいきます。
ふたりとも会社員でないのはなぜか、シロさんが毎朝 新聞折り込みチラシで今日のお買い得をチェックしてから 出勤するほど倹約家なのはなぜか、どうして好みのタイプと真逆のケンジと 8年ほど暮らしているのはなぜか、読み進むと分かってきます。
ふたりの交友関係には、いかにもなゲイカップルも いるのですが、ふたりは意外なほど地味に暮らしを楽しんでいます。
基本は休みが合わない仕事なので、お盆と正月には ちょっとカロリー無視した献立はささやかな楽しみなのです。
シロさんはおじいさんみたいな献立が好みなのですが、ケンジが 好き嫌いなくおいしく食べてくれて、同居を始めてから 太らなくなってるのがまたいいかんじです。
婚姻関係という縛りがないふたりですから、一緒にごはんを 食べて日々絆を確認しているのですね。読むと家族に 優しくしたくなる、素敵な漫画です。